従業員が死亡したときの給与と会社手続き|未払給与・年末調整・社会保険

従業員が亡くなったとき、会社は遺族への配慮と並行して、給与の精算や社会保険の届出を進めます。特に注意したいのは、給与の税区分と、遺族への支払先です。

この記事では、主に業務外の死亡を想定し、給与・税と健康保険・厚生年金保険の手続きを整理します。

最終更新:2026年10月5日

 

この記事の結論(先に知りたい方はこちら)

  • 社会保険:資格喪失日は死亡日の翌日で、資格喪失届は事実発生から5日以内に提出します。
  • 給与の税区分:死亡後に支給期が来る給与は、相続財産として扱います。
  • 遺族への支払い:連絡者にそのまま払わず、受取人の権利・権限を確認します。

 


 

目次

  1. 最初に確認すること
  2. 社会保険の資格喪失と保険料
  3. 未払給与・年末調整・住民税
  4. 遺族への支払いと死亡退職金
  5. 埋葬料・遺族年金の案内

 


 

1. 最初に確認すること

会社の連絡窓口を決め、遺族に何度も同じ確認をしないよう、必要事項をまとめます。

  • 死亡日と連絡先:死亡年月日、連絡者の氏名・続柄。
  • 給与と勤怠:最終勤務、休暇・休職、締切日と支給日、未払分。
  • 保険と規程:加入先、被扶養者、退職金・弔慰金の定め。

資料は必要な範囲で依頼し、閲覧できる担当者を限定します。給与の支給日などは規程と契約を照合してください。労働条件通知書と雇用契約書の違いも参考になります。

 


 

2. 社会保険の資格喪失と保険料

健康保険・厚生年金保険の資格喪失日は死亡日の翌日です。会社は資格喪失届を事実発生から5日以内に提出します。健康保険組合への届出や、年齢に応じた手続きも加入先に確認してください。

協会けんぽの場合、本人・被扶養者に交付された資格確認書等の返納を確認します。

最後の保険料は、資格喪失月で確認する

月額保険料は、原則として資格取得月から資格喪失月の前月までが対象です。次は、前月以前から継続加入し、同月得喪や免除がない場合の説明用の例です。

死亡日 資格喪失日 保険料の対象
10月15日 10月16日 9月分まで。
10月31日 11月1日 10月分まで。

死亡月の保険料がなくても、前月分が未控除なら精算が必要になる場合があります。保険料は日割りせず、過去の控除と照合します。

資格取得と資格喪失が同じ月なら、原則1か月分が必要です。厚生年金の調整は資格履歴によるため、通常の転職時の還付例をそのまま当てはめず、加入先に確認してください。

控除の点検には、給与計算でよくあるミスと確認ポイントもご活用ください。

 


 

3. 未払給与・年末調整・住民税

税の区分は、振込日ではなく「支給期」で分ける

勤怠と賃金規程に沿って給与を計算し、死亡時までに支給期が来ていたかで区分します。通常、定められた支給日が支給期となり、振込が遅れただけでは区分は変わりません。

支給期 税務上の扱い
死亡時までに到来 本人の給与所得。未払いでも年末調整・源泉徴収票の対象に含める。
死亡後に到来 相続財産。給与の所得税を源泉徴収せず、本人の給与所得の源泉徴収票に含めない。

例:月末締め・翌月末支給で、3月25日に死亡した場合
支給期の変更がなければ、2月分(3月末支給)と3月分(4月末支給)は相続財産です。一方、2月末支給の給与が未払いなら、本人の給与所得に含めます。

相続財産に当たることと、相続税の納税が必要かは別です。また、所得税を引かなくても、未精算の社会保険料までなくなるわけではありません。

年末調整と書類の交付

死亡退職は年の途中でも年末調整の対象です。扶養控除等申告書の提出などの要件を確認し、給与システムに相続財産分が課税給与として混入していないか点検します。

源泉徴収票は相続人へ交付し、「死亡退職」欄に表示します。準確定申告の要否は税理士へ確認してもらいます。

住民税の特別徴収をしていた場合は、給与所得者異動届出書を市区町村へ提出します。未徴収分は通常の退職時の一括徴収を機械的に適用せず、死亡時の取扱いを確認してください。

 


 

4. 遺族への支払いと死亡退職金

連絡者や喪主が、未払給与の全額を受け取れるとは限りません。相続関係と、受取人・代理人の権限を確認して支払います。相続人間の対立や相続放棄などがある場合は、弁護士へ相談してください。

権利者から請求があった場合、労働基準法23条により、賃金の支払いと本人の金品の返還は請求から7日以内に行います。争いがあっても、異議のない部分は同じ期間内に対応が必要です。

支払先を確認したうえで、給与・控除・還付金の明細と、支払いの記録を残します。本人名義口座への自動振込も、確認せず実行しないようにします。

退職金・弔慰金は給与と分ける

死亡退職金は、規程で受取人と支給条件を確認します。死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等は、みなし相続財産として扱い、通常の退職所得として源泉徴収するものではありません。

弔慰金も名称だけで非課税とは決まりません。受取権限は弁護士へ、非課税の適用・申告や支払調書などの税務処理は税理士へ確認してください。

 


 

5. 埋葬料・遺族年金の案内

協会けんぽでは、業務外の死亡について、生計を維持されていた方で埋葬を行う方に埋葬料5万円が支給されます。対象者がいない場合は、実際に埋葬した方に5万円を上限とする実費が支給されます。

会社は加入先の案内や、申請書の事業主証明などに協力します。申請者別の必要書類は、協会けんぽの埋葬料(費)の申請案内をご確認ください。

遺族年金は、要件を満たす遺族が別途請求します。会社の資格喪失届だけでは支給されません。相談先として年金事務所を案内しましょう。

業務や通勤との関係が疑われる死亡は、一般の業務外死亡として処理せず、労働基準監督署や専門家へ確認します。

給与計算の対応体制も見直したい場合は、自社運用とアウトソーシングの比較も参考になります。

 


 

給与・社会保険手続きのご相談

Payroll Plus社労士事務所は、堺市堺区・七道駅を最寄りとし、北摂地域の事業主様にも対応しています。死亡時の給与計算や社会保険手続きでお困りの方は、初回30分の無料労務相談をご利用ください。

個別の相続関係は弁護士へ、所得税・相続税や税申告は税理士へ確認し、労務の手続きと分けて進めます。

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参考:国税庁の未払給与・年末調整・死亡退職金の案内、労働基準法23条、日本年金機構、協会けんぽの手続き案内。

本記事は2026年10月5日時点の一般的な解説です。加入先・資格履歴・規程・受取人の状況に応じて、個別に確認してください。