退職者急増を防ぐ!効果的な退職防止策と面談術 

「また辞めてしまった…」

採用してもすぐに辞める、優秀な人材ほど突然いなくなる。そんな悩みを抱える経営者・人事担当者の方は、今とても多いのではないでしょうか。

人手不足が深刻化する中、採用難はどの企業にとっても共通の課題です。しかし採用よりもさらに重要なのが、採用した人材をいかに定着させるかです。1人が辞めた場合に発生するコスト(採用費・引き継ぎ・教育コストなど)は、年収の50〜100%相当ともいわれています。退職防止は、コスト面でも組織の安定という面でも、経営の最重要課題のひとつといえます。


 

なぜ今、退職者が増えているのか

厚生労働省の雇用動向調査によると、新卒大学卒業者の3年以内離職率は約35%にのぼります。若い世代ほど離職率が高く、20〜24歳では約29%、25〜29歳でも約21%と、全世代平均の15%を大きく上回っています。

また、2025年の調査では、直近3年以内に「入社半年以内の早期離職があった」と回答した企業が57%にのぼり、大企業では7割を超えました。

では、何が原因で退職するのでしょうか。最近の調査では、かつて主な離職理由だった「残業が多い」「労働時間が長い」という就業負荷への不満は減少傾向にある一方で、「上司の指示や考えに納得できない」「評価に納得感がない」「求められる成果が重すぎる」といった「納得感の欠如」が、離職につながりやすい不満として上位に浮かび上がってきています。

つまり、働き方改革で労働環境が改善されても、今度は「納得できる職場かどうか」が問われる時代になったということです。給料や休日だけでは、もはや人は離れない理由にはなりません。


 

退職は「突然」ではなく「予兆がある」

「急に辞めます、と言われてびっくりした」という経験をお持ちの方も多いかもしれません。しかし実は、退職はほとんどのケースで、ある程度の時間をかけて本人の中で決断されています

上司が「全く知らなかった」と言う一方で、部下はサインを出し続けていたというすれ違いが、多くの職場で起きているのです。

退職の予兆として現れやすいサインには、次のようなものがあります。

  • 業務への関与が薄くなる(ミスが増える、仕事を他人に押し付けるなど)
  • 職場でのコミュニケーションが減る(ランチを一人で取る、雑談に加わらないなど)
  • 有給休暇の取得が増える、または遅刻・欠勤が増える
  • 退社時間が急に早くなる、身だしなみに気を使うようになる(転職活動の開始)
  • 新しいプロジェクトや会議への参加を避けるようになる

これらのサインに気づき、適切なタイミングで声をかけることができるかどうか。それが退職防止の第一歩です。


 

退職防止のための4つの取り組み

① 定期的な1on1ミーティングの実施

最も効果的な退職防止策のひとつが、上司と部下が1対1で定期的に対話する「1on1ミーティング」の仕組みです。月1回、30分程度でも継続的に行うことで、部下の状態や不満を早期に把握し、「びっくり退職」を防ぐことができます。

ただし、1on1を「業務の進捗確認」で終わらせてしまうと意味がありません。大切なのは、業務の話ではなく「その人自身」の話を聞くことです。

1on1で聞くとよい質問例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 「最近、仕事の中で一番しんどいと感じていることは何ですか?」
  • 「今の業務で、やりがいを感じる瞬間はありますか?」
  • 「半年後・1年後、どんな仕事や役割にいたいですか?」
  • 「職場の環境や人間関係で、気になっていることはありますか?」
  • 「私(上司)に、もっとこうしてほしいということはありますか?」

ポイントは、アドバイスや評価をすぐにしないこと。まず「聞く」ことに徹することで、部下は本音を話しやすくなります。また、1on1で出た意見や要望に対して誠実に対応すること(できないなら、その理由を伝えること)が、信頼関係の構築につながります。

 

② 評価への納得感を高める

前述のとおり、近年の離職理由として「評価への納得感のなさ」が急増しています。評価制度がある企業でも、評価の根拠や基準が伝わっていないことで、従業員が不満を抱えているケースは少なくありません。

評価面談では、結果(評価点数)だけを伝えるのではなく、「なぜその評価になったのか」「次にどう行動すれば評価が上がるのか」を具体的に伝えることが重要です。評価に納得できないまま放置されると、モチベーションが低下するだけでなく、「自分はここに必要とされていない」という感覚につながり、退職を検討するきっかけになります。

 

③ 入社直後のフォローを手厚くする

退職が最も多く発生するのは、入社後1年以内です。特に最初の3〜6ヶ月は、「思っていた仕事と違う」「職場になじめない」というギャップが起きやすい時期です。

入社後のオンボーディング(受け入れ・定着支援)を丁寧に行うことで、この時期の離職を大きく減らすことができます。具体的には「入社前に、職場の「リアルな姿」(大変な面も含めて)をしっかり伝えておく」「入社直後に担当者を設け、何でも聞ける相手を作る」といった取り組みが有効です。

「採用したら終わり」ではなく、入社後の支援こそが定着のカギです。

 

④ 職場環境・待遇の定期的な見直し

長時間労働・休日の少なさ・給与の低さといった待遇面が退職理由になるケースは、以前より減ってきているとはいえ、依然として一定数あります。従業員満足度調査を定期的に実施し、自社の職場環境に潜む課題を可視化することが有効です。

また、2026年10月には同一労働同一賃金ガイドラインの改正も施行されます。パート・有期雇用労働者の待遇差が改めて問われる時代に、正社員・非正規を問わず「公平に扱われている」と感じられる職場を作ることが、全従業員の定着につながります。


 

退職申し出を受けたときの面談術

万が一、従業員から退職の意向を伝えられた場合、どう対応するかも重要です。

まず大切なのは、感情的にならないこと。「急に何で?」「裏切りだ」といった反応は、相手を委縮させ、本音を聞き出すことを難しくします。まずは「話してくれてありがとう」という姿勢で臨みましょう。

退職の申し出を受けた際の面談では、「退職を考えるようになったきっかけや理由」「現在の業務や職場環境で不満に感じていたこと」また、「もし改善できるとしたら何があれば働き続けること」を考えてもらえたのかを丁寧に確認することが大切です。

一方で、頭ごなしに引き留めたり、「頼むから辞めないでくれ」と感情に訴えたりする対応は避けるべきです。また、「お前がいなくなったらどうするんだ」と責めるような発言や、「給料を上げるから考え直してほしい」といった曖昧な条件提示をその場で行うことも、慎重に対応する必要があります。

なお、退職意向が固まっている場合は引き留めより情報収集に徹することが大切です。退職者の本音は、残る従業員のために組織を改善する貴重なヒントになります。面談の内容は記録し、今後の職場改善に活かしましょう。


 

まとめ

退職防止は、「辞めてから対処する」のではなく、「辞める前に関係を作る」ことが本質です。1on1や定期面談を通じて日頃から対話の機会を持ち、従業員一人ひとりが「この会社にいたい」と思える環境を整えることが、何よりの対策になります。

人手不足の時代に「選ばれる職場」であり続けることは、採用力の強化にもつながります。今いる従業員を大切にすることが、経営の安定と成長を支える土台です。

就業規則の整備や評価制度の設計、従業員面談のサポートなど、退職防止・人材定着に関するご相談は、ぜひPayroll Plus 社労士事務所にお気軽にお声がけください。貴社の状況に合わせて、具体的な取り組みをわかりやすくご提案いたします。まずはお問い合わせフォームよりご連絡ください。