
令和8年度から、医療保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金」が始まりました。児童手当の拡充や妊婦支援給付など、子育て施策の財源にあてるための新しい負担です。
「社会保険料がまた上がるの?」「給与からいくら引かれるの?」——給与計算を担当している方にとっては、料率の設定と明細の表示をどうするかが気になるところではないでしょうか。
この記事では、子ども・子育て支援金の開始時期・負担の仕組み・会社で必要な対応を社労士が整理して解説します。
最終更新:2026年10月
この記事の結論(先に知りたい方はこちら)
- 子ども・子育て支援金は、令和8年度に創設された新しい負担です。
- 被用者保険(健康保険)では、令和8年4月分の保険料からスタートします。給与からの天引きは、翌月徴収なら5月、当月徴収なら4月です。
- 支援金額は標準報酬月額 × 支援金率で計算します。令和8年度の支援金率は一律0.23%です。
- 基本的に半分は会社が負担します(本人負担は0.115%相当)。
- 健康保険料と同じく、賞与からも徴収されます。育児休業中は健康保険料・厚生年金保険料と同様に免除されます。
目次
1. 子ども・子育て支援金とは
子ども・子育て支援金は、少子化対策を支えるための新しい財源です。集めたお金は、児童手当の拡充や妊婦支援給付など、子育て世帯への支援に使われます。
特徴は、新しい税金ではなく、医療保険の仕組みを使って徴収される点です。健康保険料などとあわせて集めるため、給与計算では保険料の一種として扱うことになります。
政府は、社会保障の歳出改革による負担軽減の範囲内で導入すると説明しており、「実質的な負担は生じない」という考え方を示しています。ただし、制度としては医療保険料に上乗せして徴収されるため、給与明細には新しい項目として表れます。
⚠ 注意:支援金は税ではなく社会保険料の一種です。「独身税」などと呼ばれることがありますが、負担するのは特定の方ではなく、医療保険に加入している方全体です。
2. いつから始まるのか
制度は令和8年度に創設されました。会社員などの被用者保険に加入している方は、次のタイミングで始まっています。
| 項目 | 時期 |
| 制度の創設 | 令和8年度 |
| 拠出(負担)の開始 | 令和8年4月分の保険料から |
| 給与からの天引き(翌月徴収の場合) | 令和8年5月支給分の給与から |
| 給与からの天引き(当月徴収の場合) | 令和8年4月支給分の給与から |
⚠ 注意:給与から天引きされる月は、会社の保険料の徴収方法によって変わります。社会保険料の徴収は翌月徴収が原則で、4月分の保険料を5月支給の給与から控除します。一方、当月徴収を採用している会社では、4月分の保険料を4月支給の給与から控除します。こども家庭庁が示す「5月に給与天引き」は、翌月徴収の場合の説明です。自社がどちらを採用しているかを確認して、設定してください。
⚠ 注意:国民健康保険・後期高齢者医療制度の方は、開始時期の表れ方が違います。市町村や広域連合が条例で定めるため、具体的な徴収開始時期はお住まいの市町村へ確認が必要です。
3. 負担の仕組みと金額
被用者保険では、支援金額は「標準報酬月額 × 支援金率」で計算します。健康保険料や厚生年金保険料と同じ考え方です。
計算のポイント
| 項目 | 内容 |
| 支援金率(令和8年度) | 一律0.23% |
| 計算の基礎 | 標準報酬月額(賞与は標準賞与額) |
| 負担の割合 | 事業主と被保険者で折半(本人負担は0.115%相当) |
実際に給与から控除されるのは、計算した支援金額の半分です。たとえば標準報酬月額が30万円の場合、支援金額は690円、本人負担は345円になります。
また、支援金は賞与からも徴収されます。これは健康保険制度や厚生年金保険制度と同じ扱いです。
⚠ 注意:支援金額は被保険者本人の標準報酬月額で決まります。扶養している人数によって金額が変わるものではありません。
4. 年収別の負担イメージ
標準報酬月額ごとの支援金額と本人負担の目安を整理すると、次のとおりです。
| 標準報酬月額 | 支援金額(月) | 本人負担(月) |
| 20万円 | 460円 | 230円 |
| 30万円 | 690円 | 345円 |
| 50万円 | 1,150円 | 575円 |
※ 支援金率0.23%で計算した概算です。実際の金額は、加入している保険者や端数処理によって異なる場合があります。
月々の負担は小さく見えますが、賞与にも同じ率がかかるため、年間では賞与の回数と金額に応じて負担が増えます。給与計算の設定では、月次と賞与の両方に支援金率を反映しておく必要があります。
5. 加入する保険によって計算方法が違う
支援金の集め方は、加入している医療保険によって異なります。
| 加入する保険 | 支援金額の決まり方 |
| 被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合など) | 国が一律の支援金率(令和8年度は0.23%)を示し、標準報酬月額 × 支援金率で計算。事業主と被保険者で折半 |
| 国民健康保険 | 市町村が定める条例に基づき、世帯や個人の所得等に応じて決定。市町村ごとに料率が異なる |
| 後期高齢者医療制度 | 都道府県の広域連合が定める条例に基づき、個人の所得等に応じて決定。広域連合ごとに料率が異なる |
⚠ 注意:会社の担当者が対応するのは、原則として被用者保険の計算です。従業員から国民健康保険の負担について相談された場合は、市町村への確認を案内してください。
6. 会社で必要な対応
① 給与計算システムの料率設定
支援金率を月次給与と賞与の両方に設定します。既存の健康保険料とは別の項目として計算する必要があるため、システムのバージョンアップや設定変更の内容を確認しておきましょう。
② 給与明細の表示
従業員が「何の金額か」分かるように、明細に支援金の項目を表示することをお勧めします。新しい負担は問い合わせが増えやすいため、社内周知の資料も用意しておくと安心です。
③ 従業員からの質問に備える
「なぜ負担するのか」「いつまで続くのか」といった質問が想定されます。支援金率は令和8年度が0.23%であり、令和9年度以降は見直される見込みであることを、こども家庭庁の公表資料で確認できます。
④ 育児休業中の扱いを確認する
育児休業中の従業員については、健康保険料・厚生年金保険料と同様に支援金も免除されます。休業中の保険料計算の設定が正しいかを確認してください。
保険料率全体の動きについては、健康保険料率の改定の記事もあわせてご確認ください。
7. よくある質問
Q. いつから給与から引かれますか?
A. 被用者保険では令和8年4月分の保険料から始まります。給与からの控除は、翌月徴収の会社は5月支給分、当月徴収の会社は4月支給分です。自社の徴収方法をご確認ください。
Q. いくら負担しますか?
A. 標準報酬月額×0.23%で計算した金額の半分が本人負担です。標準報酬月額30万円なら、本人負担は月345円です。
Q. 賞与からも引かれますか?
A. 引かれます。健康保険制度や厚生年金保険制度と同様の扱いです。
Q. 扶養している家族の分も負担しますか?
A. 支援金額は被保険者本人の標準報酬月額で決まるため、扶養している人数で金額が変わるものではありません。
Q. 育児休業中も負担しますか?
A. 健康保険料・厚生年金保険料と同様に、支援金も免除されます。
Q. 子育て世帯も負担するのですか?
A. 負担します。子育て世帯かどうかではなく、医療保険に加入しているかどうかで負担が生じる仕組みです。
8. まとめ
子ども・子育て支援金は、医療保険の仕組みを使って子育て施策を支える新しい負担です。会社の実務で押さえるべき点は次のとおりです。
- 被用者保険は令和8年4月分からスタート。控除は翌月徴収なら5月、当月徴収なら4月の給与から
- 支援金額は標準報酬月額 × 0.23%(令和8年度)、労使で折半
- 賞与からも徴収され、育児休業中は免除される
- 給与計算では月次と賞与の両方に料率を設定し、明細の表示を整える
社会保険料の計算は、制度改正のたびに設定の見直しが必要になります。「正しく設定できているか不安」という場合は、給与計算システムの点検をあわせて検討しておきましょう。
扶養や税制の関連制度については、特定親族特別控除の記事もご確認ください。
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参考:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」「子ども・子育て支援金制度のQ&A」
本記事は2026年10月時点の情報に基づきます。支援金率や徴収の取扱いは、加入している保険者または市町村にご確認ください。