賞与の社会保険料はいつの料率を使う?2026年の適用時期と計算方法

「給与の社会保険料を翌月に控除しているので、賞与も前月の料率で計算するのか」。保険料率が変わる時期の賞与計算では、給与の徴収時期と混同しないことが大切です。

賞与の健康保険料・介護保険料は、支給月に適用される料率で計算します。賞与の評価・算定期間がいつか、毎月の給与で何月分を控除しているかとは分けて確認します。

この記事では、給与計算担当者・経営者の方に向けて、健康保険・介護保険・厚生年金保険と、子ども・子育て支援金の適用時期・計算方法を整理します。健康保険・介護保険の料率例は、協会けんぽの一般被保険者を前提としています。

最終更新:2026年10月

 

この記事の結論(先に知りたい方はこちら)

  • 賞与は支給月の料率を使います。給与の翌月徴収に合わせて、前月の料率にしません。
  • 2026年の協会けんぽの健康保険・介護保険の新料率は、3月1日以降に支給する賞与から適用します。
  • 子ども・子育て支援金は、2026年4月1日以降に支給する賞与も対象です。
  • 税引き前の賞与額から1,000円未満を切り捨て、標準賞与額と上限を確認して計算します。

 


 

目次

  1. 賞与は支給月の料率で計算する
  2. 2026年の料率と適用時期
  3. 標準賞与額と計算例
  4. 上限・支給回数・退職月の注意点
  5. 賞与支払届とシステムの点検
  6. よくある質問
  7. まとめ・賞与計算のご相談

 


 

1. 賞与は支給月の料率で計算する

毎月の給与では、前月分の社会保険料を当月の給与から控除する運用があります。一方、賞与は、その賞与を支給する月の料率で保険料を計算します。

例えば、2026年3月25日に支給する賞与には、3月から適用される新しい健康保険料率・介護保険料率を使います。賞与の評価期間が前年の期間であっても、そのことを理由に前年の料率を使うわけではありません。

給与と賞与が同じ支給日でも、料率が異なる場合がある

給与で前月分の保険料を控除する会社が、2026年3月25日に給与と賞与を支給する例です。

支払うもの 健康保険・介護保険の料率
3月25日支給の給与 2月分の保険料を控除する前提では、改定前の料率。
3月25日支給の賞与 3月支給の賞与として、改定後の料率。

同じ日に振り込むことと、同じ料率を使うことは別です。給与・賞与の設定が共通になっているシステムでは、変更のタイミングと適用結果を確認しましょう。

 


 

2. 2026年の料率と適用時期

協会けんぽの2026年度の健康保険料率・介護保険料率は3月分から適用されます。子ども・子育て支援金は4月分から始まるため、切替え時期が異なります。

項目 料率 賞与への適用
健康保険 協会けんぽは都道府県ごとに異なる。大阪は10.13%。 2026年3月1日以降の支給から新料率。
介護保険 協会けんぽは全国一律1.62%。 対象者について、2026年3月1日以降の支給から新料率。
子ども・子育て支援金 協会けんぽは0.23%。 2026年4月1日以降の支給から。
厚生年金保険 18.3%。 2026年春に料率変更はない。

表の料率は労使合計です。折半した本人負担率は、大阪の健康保険5.065%、介護保険0.81%、支援金0.115%、厚生年金9.15%となります。厚生年金基金の加入者等は別途確認してください。

協会けんぽでは、原則として40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者に介護保険料が加わります。健康保険組合に加入している場合は、その組合の料率・適用時期・取扱いを確認します。

支給日別に整理すると

  • 2026年2月まで:改定前の健康保険・介護保険料率。支援金は対象外。
  • 2026年3月:改定後の健康保険・介護保険料率。支援金はまだ対象外。
  • 2026年4月以降:改定後の料率に加え、支援金も計算。

支援金は、子どもがいる従業員だけにかかるものではありません。詳しくは、子ども・子育て支援金の仕組みと給与計算への影響をご覧ください。

 


 

3. 標準賞与額と計算例

税引き前の賞与額を使う

賞与にかかる保険料は、税引き前の総支給額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に料率を掛けて計算します。振込額や、所得税を差し引いた後の金額を使うものではありません。

例えば、総支給額が500,900円なら、上限に達していない場合の標準賞与額は500,000円です。

例:2026年12月に賞与500,900円を支給

次の条件による説明用の例です。

  • 協会けんぽ大阪の一般被保険者。
  • 35歳で、介護保険料の対象外。
  • 健康保険・厚生年金保険に加入中。
  • 同月にほかの賞与なし。標準賞与額の上限に達していない。
  • 保険料免除の対象ではない。通常の労使折半。
項目 本人負担の計算 金額
健康保険 500,000円×10.13%÷2 25,325円
子ども・子育て支援金 500,000円×0.23%÷2 575円
厚生年金保険 500,000円×18.3%÷2 45,750円
上記の合計 25,325円+575円+45,750円 71,650円

同じ条件で介護保険料の対象者なら、500,000円×1.62%÷2=4,050円が加わり、上記項目の本人負担合計は75,700円です。

これは、掲載した保険料・支援金だけの合計です。賞与の手取り額を示す計算ではありません。所得税などは別に確認します。

 


 

4. 上限・支給回数・退職月の注意点

健康保険と厚生年金では上限が違う

項目 標準賞与額の上限
健康保険・介護保険・支援金 年度累計573万円。年度は4月1日から翌年3月31日。
厚生年金保険 1か月150万円。同月に複数回支給する場合は合算。

同じ賞与でも、保険ごとに計算の基礎額が異なる場合があります。年度内の過去の賞与、同月の支給、転職等による資格の変更も確認してください。

年4回以上の支給は、通常の賞与計算と区別する

社会保険では、労働の対償として年3回以下支給されるものが標準賞与額の対象です。年4回以上支給される賞与は、標準報酬月額の対象となる報酬として扱われます。名称だけで判断せず、規程と支給の実態を確認しましょう。

標準報酬月額の管理については、通勤手当と社会保険料・随時改定の注意点も参考になります。

退職月は、支給日と資格喪失月を確認する

賞与支給月が資格喪失月に当たる場合は、原則として保険料賦課の対象になりません。ただし、同じ月に資格取得と資格喪失があった場合は、資格取得日から資格喪失日の前日までに支給された賞与が対象になるため、個別の確認が必要です。

また、保険料がかからない賞与でも、健康保険の標準賞与額の年度累計に含める場合があります。「保険料なしだから、届出も不要」と一律に判断しないようにしてください。

 


 

5. 賞与支払届とシステムの点検

事業主は、被保険者等に賞与を支給した場合、原則として支給日から5日以内に被保険者賞与支払届等を提出します。給与計算が終わっても、届出が済んだかを別に確認してください。

確認する設定 点検内容
賞与支給日 実際の支給日と登録日付が一致しているか。
料率の適用 給与の徴収月ではなく、賞与の支給月に適用される料率か。
保険者・対象者 加入先、介護保険の対象、資格取得・喪失等を反映しているか。
標準賞与額 税引き前の額、1,000円未満切捨て、同月の合算と上限を確認したか。
支援金 適用開始時期を反映し、二重に加算していないか。
計算結果・届出 賞与明細と手計算、賞与支払届の金額が一致しているか。

システムによって、健康保険料と支援金を合算して設定する場合と、別々に設定する場合があります。入力画面の名称だけで判断せず、その製品の案内と計算結果を確認してください。

ほかの計算項目もまとめて点検する場合は、給与計算でよくあるミスと確認ポイントもご覧ください。

 


 

6. よくある質問

給与が翌月徴収なら、賞与も前月の料率を使いますか?

いいえ。賞与は支給月に適用される料率で計算します。毎月の給与で前月分の保険料を控除することとは分けて確認します。

賞与の評価期間が前年なら、前年の料率ですか?

いいえ。健康保険・介護保険の料率は、賞与の評価期間ではなく支給月で確認します。

2026年3月支給の賞与にも支援金がかかりますか?

3月支給の賞与にはかかりません。子ども・子育て支援金は2026年4月1日以降に支給する賞与が対象です。健康保険・介護保険の新料率は、3月支給から適用されます。

賞与から控除するのは、表の料率を掛けた全額ですか?

通常の労使折半では、本人負担は全額の半分です。料率表やシステムの入力欄が、労使合計か本人負担分かを確認してください。

 


 

7. まとめ・賞与計算のご相談

賞与の社会保険料は、支給月の料率、標準賞与額、保険ごとの上限を確認して計算します。2026年は健康保険・介護保険の改定と支援金の開始月が異なるため、それぞれの適用時期を整理しておきましょう。

「給与と同じ日だから同じ料率」「自動計算だから確認不要」と判断せず、賞与明細と手計算・届出を照合することが大切です。

  • 給与と賞与の料率設定が、正しいか分からない。
  • 支援金を含めた計算結果を、確認したい。
  • 退職月や高額賞与の扱いで、迷っている。
  • 賞与計算と社会保険の届出を、まとめて相談したい。

Payroll Plus社労士事務所は、堺市堺区・七道駅を最寄りとして、給与計算代行や給与計算システムの導入・運用支援に取り組んでいます。北摂地域の事業主様からのご相談もお受けしています。

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参考資料

日本年金機構:賞与の計算・上限・届出の案内

協会けんぽ「令和8年度都道府県単位保険料率」「介護保険料率」「子ども・子育て支援金率」、日本年金機構の保険料解説等も参照しています。

本記事は2026年10月時点の公表情報に基づく一般的な解説です。計算例は協会けんぽ大阪の通常の加入者を前提としています。実際の計算は、支給時点の料率・加入先・資格・免除の有無等を確認してください。