
外国人材の受け入れを検討する企業様からよくいただくご相談のひとつが、「技能実習生と特定技能って、結局何が違うのですか?」というご質問です。名称も制度趣旨も似た部分があり、混同されがちですが、目的や運用ルールには大きな違いがあります。
今回は、技能実習制度と特定技能制度の違いについて整理するとともに、2027年4月に予定されている制度改正の動向についてもあわせてご紹介します。
技能実習制度とは
技能実習制度は、開発途上国等への技能移転を通じた「国際貢献」を目的とした制度で、未経験からの育成を前提としたものです。実習生は「技能実習」の在留資格で来日し、監理団体を通じて企業(実習実施者)に受け入れられます。
・対象職種:約90職種、168作業に区分され、技能実習計画で認められた作業以外には従事できない
・在留期間:技能実習1号(1年)→2号(2年)→3号(2年)と段階を踏み、最長5年
・転籍:原則として認められておらず、勤務先の変更は困難
・受け入れ方法:監理団体を通じた受け入れが基本
特定技能制度とは
特定技能制度は、国内の人手不足が深刻な産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的とした在留資格です。2019年に創設され、特定技能1号・2号の区分があります。
・対象分野:介護、建設、外食業、農業など16分野(2026年1月時点)
・特定技能1号:一定の技能水準・日本語能力の試験に合格した人材が対象。在留期間は通算5年が上限で、原則として家族帯同は認められない
・特定技能2号:より高度な試験に合格することで移行可能。在留期間の更新に上限がなく、家族帯同も可能。対象分野は当初2分野でしたが、現在は11分野まで拡大
・転籍:同一分野内であれば、他の受け入れ企業への転籍が可能
両制度の主な違い
| 項目 | 技能実習 | 特定技能 |
| 目的 | 国際貢献(技能移転) | 人手不足分野の人材確保 |
| 在留資格の性質 | 実習生 | 労働者 |
| 技能水準 | 未経験からの育成が前提 | 一定の技能・日本語試験に合格した即戦力 |
| 転籍 | 原則不可 | 同一分野内で可能 |
| 在留期間 | 最長5年 | 1号:通算5年/2号:上限なし |
| 家族帯同 | 不可 | 1号:不可/2号:可能 |
このように、技能実習は「育てながら働いてもらう」制度であるのに対し、特定技能は「即戦力として働いてもらう」制度である点が、両者の根本的な違いといえます。
技能実習から特定技能への移行
技能実習2号を良好に修了した実習生については、分野によっては技能試験・日本語試験が免除され、特定技能1号へ移行することが可能です。育成した人材をそのまま継続して雇用できる仕組みとして、多くの企業様が活用されています。ただし、技能実習で認められていた職種と特定技能の対象分野が完全には一致しないため、移行の可否は個別に確認が必要です。
今後の制度改正について
2024年6月の法改正により、技能実習制度は「育成就労制度」へと発展的に移行することが決定しており、2027年4月の施行が予定されています。育成就労制度は、特定技能1号への移行を前提とした人材育成・確保を目的とする制度で、一定の要件のもとで転籍が可能になるなど、技能実習制度からの大きな変更点が予定されています。すでに受け入れている技能実習生については経過措置が設けられる見込みですが、今後新たに外国人材の受け入れを検討される企業様は、この制度改正の動向も踏まえた準備が重要になります。
本コラムの内容は2026年7月時点の法令・公表情報に基づいています。最新の制度については、出入国在留管理庁または社会保険労務士にご確認ください。
まとめ
技能実習と特定技能は、目的も運用ルールも異なる別の制度です。どちらの制度で外国人材を受け入れるべきか、また技能実習生から特定技能への移行手続きをどう進めればよいか、判断に迷われるケースは少なくありません。当事務所では、外国人材の受け入れに関する制度選定から各種手続き、労務管理まで幅広くサポートしております。外国人雇用でお困りの際は、ぜひお気軽に当事務所までお問い合わせください。