社会保険や雇用保険の手続きでは、従業員の年齢によって取り扱いが変わるケースが多くあります。
人事・労務担当者として押さえておきたい、年齢ごとの重要なポイントをまとめました。
雇用保険
雇用保険については、取得・喪失ともに年齢要件はありません。以前は65歳以上の方は雇用保険に加入しないケースもありましたが、平成29年の法改正により、現在は年齢に関係なく要件を満たせば加入することになりました。
健康保険
健康保険も年齢に関係なく要件を満たせば加入となります。ただし、70歳以上になると医療費の自己負担割合が変わるため、高齢受給者証が交付されます。一般的には3割負担から2割負担へと軽減されます(現役並み所得者は3割のまま)。
また、75歳になると後期高齢者医療制度に移行するため、健康保険は喪失となります。保険料についても、給与天引きから個人納付に切り替わります。
介護保険
健康保険に加入している方は、満40歳から介護保険料の控除が開始されます(第2号被保険者)。介護保険料の給与天引きは64歳まで続き、65歳以降は個人納付(第1号被保険者)に切り替わります。
厚生年金保険
厚生年金保険も基本的に年齢要件はありませんが、原則70歳で資格を喪失します。
また、70歳を過ぎても老齢厚生年金を受給するための加入期間が不足している場合は、一定の要件のもとで任意に厚生年金保険に加入することができます(高齢任意加入)。
被扶養者の年齢要件
配偶者を社会保険の被扶養者とする場合、国民年金第3号被保険者の要件として配偶者が20歳以上60歳未満という年齢制限があります。
配偶者が20歳未満の場合は健康保険の扶養のみとなり、20歳に到達した時点で国民年金第3号被保険者の手続きが必要になります。20歳到達により自動で国民年金第3号被保険者の取得手続きがされるわけではありませんので、手続き漏れがないよう注意しましょう。
民法上の年齢計算
重要なのは、上記の年齢要件はすべて民法の年齢計算に基づくということです。民法では誕生日の前日に年齢が加算されるため、一般的な誕生日より1日早く取り扱いが変わります。
介護保険料控除開始のタイミング(月末締め翌月15日支払いの場合)
【例1】4月2日生まれで40歳になるケース →民法上は4月1日に40歳となるため、4月分保険料から介護保険料控除開始(5月支給給与から控除)
【例2】4月1日生まれで40歳になるケース →民法上は3月31日に40歳となるため、3月分保険料から介護保険料控除開始(4月支給給与から控除)
給与計算システムでの管理
給与計算システムにもよりますが、従業員マスタに生年月日を正しく登録しておけば、システムが自動的に年齢要件を判定し、適切な控除を行うシステムがほとんどです。
給与処理時には前月との差額を確認し、介護保険料等が新たに控除されている場合は、該当従業員が年齢要件に達していることを念のため確認することをお勧めします。