皆勤手当の正しい取り扱い方法【割増賃金・欠勤控除・最低賃金での注意点】

皆勤手当は他の賃金と異なり、特殊な取扱いを行うことが多い項目です。 具体的にどのような点で他の賃金と取扱いが異なるのか、3つのポイントに分けてご紹介いたします。

 


 

割増賃金の計算

まず割増賃金の計算の基礎に含まれない手当は、下記となります。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

皆勤手当は上記に該当しないため、割増賃金の計算の基礎に含まれます。

なお、皆勤手当は欠勤等があった場合に支給されないことから、「臨時に支払われた賃金」に該当するのではないかという疑問を持たれることがあります。しかし、臨時に支払われた賃金とは、支給事由が突発的で制度的に支給が予定されていないものを指します。皆勤手当は制度として毎月支給されることを前提とした賃金であるため、これには該当しません。

また、欠勤等により当月の皆勤手当が支給されない場合には、実際に支払われる賃金に含まれないため、結果として割増賃金の計算基礎にも含まれません。

ただし、給与計算システムによっては、割増単価に支給されない皆勤手当が含まれてしまう場合があるため、業務の効率化を図る観点から、皆勤手当が支給されない月に関しても、あえて割増単価に皆勤手当を含めて計算する運用も実務上は考えられます。

 


 

欠勤控除の計算

欠勤により皆勤手当が不支給(全額カット)となった場合、欠勤控除の計算単価に皆勤手当を含めてはいけません。 これを含めてしまうと、「皆勤手当が支給されない」というペナルティに加え、「欠勤控除額も増える」という二重の不利益を従業員に与えてしまうためです。

具体例で確認してみましょう:

月給200,000円(基本給180,000円+皆勤手当20,000円)の従業員が、1日欠勤した場合(所定労働日数20日)

【誤った計算】

  • 欠勤控除単価:200,000円÷20日=10,000円
  • 実支給額:月給200,000円-皆勤手当20,000円-欠勤控除10,000円=170,000円

【正しい計算】

  • 欠勤控除単価:180,000円÷20日=9,000円
  • 実支給額:月給200,000円-皆勤手当20,000円-欠勤控除9,000円=171,000円

 

このように、皆勤手当を含めた単価で欠勤控除を行うと、従業員が不当に多く控除されてしまいます。給与計算システムでは、欠勤控除の計算対象となる賃金から皆勤手当を除外する設定を行うことが重要です。

 


 

最低賃金の計算

最低賃金を計算する際に賃金から除外する賃金は、下記の通りです。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

 

皆勤手当(精皆勤手当)は、最低賃金法において最低賃金の計算から除外する賃金として定められています。これは、皆勤手当が出勤状況に応じて支給の有無が変動する性質を有しており、労働者の通常の労働に対する対価としての賃金とは区別されているためです。

 


 

まとめ

特に、皆勤手当は「割増賃金の計算には含まれる一方で、欠勤控除の計算には含まれない」という点で誤解が生じやすい手当です。この取扱いの違いを正しく反映できていない場合、割増賃金や欠勤控除の計算誤りにつながる可能性があります。そのため、制度内容を正しく理解したうえで、給与計算システム上の計算対象や除外設定を適切に行うことが重要です。

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